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いただきもの

冬騎様より




【キング&ジョーカー】


今朝、ジャガイモと南瓜をを大量に収穫したので、
分けてやるからと親戚から連絡があった。
ダンボール2箱あるから、誰かと二人で来いという事だが
週末は温泉目当ての観光客が多いために両親は手が空かず、
必然的に勇利とヴィクトルが行くことになった。

「重い…」
「これくらいで根をあげるなんて根性が足りないよ、勇利」

8~10kgはあろうかと推測出来る箱を持ち直しながら
愚痴をこぼすと、同じようにダンボールを手にしているが、
軽い足取りで勇利の前を歩いているヴィクトルがからかった。

「君が持っているダンボールは、南瓜が10個入っているだけだろう。
僕の方はジャガイモがぎっしり詰まっているんだぞ」

『重さが違うんだよ。何だったらヴィクトルがこっちを持つ?』と
言ってみたが、トレーニング代わりだと思いなよと軽く交わされた。
普段なら何てことのない数百メートルの坂道が、
今日ばかりは家路まで何キロもあるように感じる。
途中の曲がり角で、そこに掲示板があったことに今更気がついた。
そこには公民館で行われる高齢者のカラオケ大会のお知らせや、
集まった募金の結果を知らせる紙などが貼られている。
その中で華やかなポスターが目についた。

「ああ、そろそろ唐津くんちだ」

そう呟いた勇利の声が聞えたのか、ヴィクトルが突然足を止める。

「うわっ、急に立ち止まったら危ないじゃないか」

ヴィクトルの背中に激突しそうになりながら、寸でのところで
それを回避する。

「勇利、君は今何て言った?」
「何って“そろそろ唐津くんちだ”って言ったけど」

顔を突きつけるように迫ってこられ、思わず後ずさる。
こちらを見るヴィクトルの表情が心もち険しい。


20170612.png
「何故君は俺の目の前で、堂々と他人の名前が言えるんだい」
「えっ、他人の名前なんて言ってないよ」
「言ったじゃないか、たった今」
新規キャンバス20170615



そう言われても、言ってないものは言っていない。

どうして彼は突然、そんな言い掛かりを付け始めたんだと、
勇利が反論の口を開こうとした時、ふと思うことがあった。

「もしかして唐津くんちって言ったことに腹立ててるの?」
「そうだよ。ほら、覚えているじゃないか。
それでその唐津君の家は何処なんだい?」

(あっ…やっぱり)

自分の思ったことが当たっていて、可笑しくて笑いが出てしまう。

「笑うなんて随分と余裕だね、勇利」
「そりゃあ笑っちゃうよ。ヴィクトルってば変な事を言うんだもん」
「俺の何が変だって?
君が嫉妬に狂う男を見て笑うとは思わなかったよ」

これ以上こじらせると面倒なので、勇利は掲示板のポスターを
指差す。
そこには曳山の大きなポスターが貼られている。

「僕が言ったのはコレ。“唐津くんち”って言うのは
唐津神社の秋の大祭で、唐津君っていう人の家じゃないんだ」

勇利が指を差す先を確認したヴィクトルは、
祭りを告知するそのポスターをジッと眺めた後、
安堵の溜め息を漏らす。

「何だ…そうだったのか。吃驚した」
「吃驚したのはこっちだよ。ヴィクトルってば急に怒り出すんだから」
「ごめんよ、勇利。疑ったお詫びに俺がそっちの荷物を持つよ」

素直に謝ったヴィクトルは、勇利が持っている荷物と
自分が持っている荷物を交換しようとしたが、
勇利は「いいよ」と断った。

「それじゃ俺の気が済まないんだ」

結構ヴィクトルも頑固なところがあり、言い出したら引っ込まない
面がある。

「じゃあさ、この大量の芋と南瓜を消費させる料理を僕が作るから、
それは残さずに食べること。それでどう?」
「何だ。それじゃ罰にもならないじゃないか」
「それはどうかな」








その日の夜、昼間運んできたジャガイモと南瓜を使って
勇利は大量のコロッケを作った。
皿の上に山積みにされたそれは、全部で80個以上あるだろう。

「えっ、これ全部俺が食べていいのかい?」
「食べられるものならどうぞ」

いくら何だってコロッケを80個も食べられるわけがない。
途中で胸焼けだってしてくるだろう。
そう高をくくって勇利は自分の小皿に取り分けてあるコロッケを
箸で切り分けて、白米と一緒に食べ始めた。
早食いはデブの基だから、ひと口を最低30回噛んで食べる。
そうするようになって食事の時間は前より長くかかるようになったが、
腹持ちが良くなったように感じる。
その間にヴィクトルは
「Очень вкусно!(とても美味しいよ)」
と繰り返しながらコロッケを食べている。

「勇利はコロッケ、二つだけで足りたのかい?」
「充分だよ」
「そう、良かった。分けてくれって言っても、もう無いからね」

(えっ…?)

味噌汁の入った椀を置いて、ヴィクトルの膳を見て勇利は絶句した。

自分が茶碗一杯のご飯と味噌汁、コロッケ二枚とサラダ、
母が作った蕗の煮物を食べている間に、
ヴィクトルは約80個のコロッケを全て平らげている。
正確にはそれプラス、ご飯・味噌汁・サラダ・蕗の煮物もだ。

「ヴィクトル…君の胃袋は何個あるの?」
「人を牛みたいに言わないでくれるかな」

そう言いながらもヴィクトルは満面の笑みを浮かべて
「明日もまた作ってよ」とねだってきた。

(参ったな…僕は彼のこの笑顔に、とことん弱いんだ)

「ハートの形をした巨大コロッケを作ってあげるよ」


照れ隠しに茶碗を片付けようと立ち上がった時、
ちゃぶ台の向こうから長い腕が伸びてきて、
勇利の首を引き寄せたと思ったらおもむろに口元を舐めた。

「!!っ、な、なに?」
「コロッケの衣がついていたんだよ」
「だ、だからって何も舐めなくたって…」
「約束通り明日、ハートの形の巨大コロッケを作ってくれたら
この続きをしてあげる」
「つ、つ、つ…続き?」
20170617勇利


動揺して言葉がどもってしまう勇利をよそに、
ヴィクトルは「だから頑張って作ってくれよ」と微笑んだ。



氷上のキングは畳の上では最強のジョーカーだった。


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冬ちゃんからは小説が届いたので
嬉しすぎて挿絵描きましたw

去年は漫画風にしたので今回は挿絵風(カラー)に。

絵を描くのは時間かかるんで、紹介がすっかり遅くなってしまって。
冬ちゃんには申し訳ない気持ちでいっぱいですが
イラストはしっかりと感謝の気持ちと愛情を詰め込みましたよ…!!


小説に挿絵をするとか実はかなり大好きですw
人様の作品の雰囲気を変えてしまう危険もあり、それはとっても申し訳ない事なので、
これは本当に仲良くさせていただいている人限定になるけれどw


冬ちゃんの紹介文はアメブロの方に投下したので、こちらではそこには触れておりませんが。
冬ちゃんも、他にも今年の誕生日に作品を届けてくださった友達にも、
そしてブログ訪問していただいている方たちにも大変感謝をしております。
こうして自分のブログに飾ることでにぎやかになって、
訪問していただけることでブログを続けることができてます。
本当にありがたい。

これからも細々と続けていくと思います
よろしくお願いします。





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